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今日12月12日は,福沢諭吉(1834~1901,幕末~
明治の啓蒙思想家)の誕生日です。
(写真は福沢を描いたイラスト。小出雅之さん作)
* * * *
【三百文字の偉人伝】
福沢諭吉
(啓蒙思想家)
1834年12月12日生まれ 1901年2月3日没
福沢諭吉がアメリカで驚いたこと
福沢諭吉(1834~1901)は,幕末から明治にかけ,
旺盛な文筆活動で,欧米の近代的なものの考え方を
日本人に知らせた人物です。
福沢は,幕末の若いころにアメリカに行っています。
彼がアメリカで一番驚いたのは,鉄道でも電信でも
ありません。それらについては,あらかじめ本で読んで
知っていました。
それよりも驚いたのは,
「初代大統領ワシントンの子孫は,今どうして
いるか?」
という質問に,みんなが「さあ?」と無関心だったこと
です。
「初代大統領といえば,日本なら初代将軍・徳川家
康みたいなものではないか」と思っていたので,意外
だったのです。
彼は「この国(アメリカ)では,家柄なんてほとんど
意味を持たない。なんて公平な社会なんだ」と感動
しました。
この感動は,福沢にとってひとつの出発点になりま
した。
* * * *
若き福沢が訪れた1800年代半ばのアメリカは,日本
よりも一足先に「近代社会」になっていました。当時の
日本は「江戸時代のおわり=幕末」で,まだ近代以前
です。日本の「近代」は,明治時代にはじまります。
今の日本で暮らす私たちは,「近代社会」の中で生き
ています。
「近代社会」って何でしょう?
人に聞かれたら,どう説明しますか?
江戸時代(近代以前)の日本は「生まれついた身分
や家柄で,その人の社会的・経済的な立場がほとんど
決まってしまう」社会でした。
つまり,農民の子は農民に,武士の子は武士に…という
ことがルールとして決まっていました。武士であった場合
に「どのくらいの役職につけるか」も,家柄でほぼ決まって
いました。
そういうのを「身分制の社会」といいます。
「ところがアメリカではそうではない」と,福沢は感動
したのでした。
「身分制の社会でない」というのは,別の表現をすれば,
「職業選択の自由がある」
ということです。
江戸時代の役人(公務員)は,(原則として)武士でした。
だから武士の子でないと「公務員」にはなれませんでした。
今は公務員の子でなくても,公務員になることが可能です。
近代社会とはひとことでいうと,「職業選択の自由がある
社会」である。
それだけでは言い尽くせないこともあるかもしれません。
でも,「近代社会」の重要なポイントが述べられていると
思います。
このような説明を,私は板倉聖宣さんの『日本歴史入門』
(仮説社)で知りました。
さらに「イメージ」的な表現で
「近代社会とは,誰かが誰かの所有物ではない,
誰もが自分自身の所有者=主人である社会」
ということも,板倉さんは言っています。
近代以前の身分制の社会では,多くの人が領主・君主
などの権力者にとって,いわば「所有物」でした。
つまり,職業も住む場所も君主(自分の所有者)の許し
なく選ぶことはできなかった……そういう「自由」のなか
った状態が,ここでいう「誰かの所有物」ということです。
これだけでは,「近代社会とは」などという大きなテーマ
に対して,あまりに説明不足かと思います。 また,別の
機会にこのあたりのことは書きたいと思います。
「近代社会って何?」と考えることは,要するに
「私たちが今生きている社会って,基本的にはどう
いう性質の社会なの? どんな原理やルールが
もっとも大事なことなの?」
と考えるいうことです。
たまには,そういう大風呂敷なことも考えてみると
いいと思います。
(あきた そういちろう)
会社勤務のかたわら,「たのしい科学」の世界を子供や大人に広めるNPO法人「楽知ん研究所」で活動してきた。現在,多摩地区で妻と2人暮らし。
連絡先
akitaあっとluctinfund.co.jp
※お手数ですが「あっと」部分を「@」にご変換ください。
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